Roots & Water
観葉植物の土に白いカビやコバエが出るのはなぜ?
鉢の土の表面に、白いふわふわしたものが広がっている。あるいは、水をやるたびに小さな虫がふわっと飛び立つ。どちらも、室内で植物を育てていると出会いやすい変化です。
鉢の表土に出る白いふわふわと、飛び回る小さなコバエは別のものですが、増える条件は共通しています。湿った有機物がある表土で何が起きているのかと、駆除より先に見直せる点を、研究機関の資料をもとに整理します。
見た目が気になるので、まず取り除く方法を探したくなります。キノコバエは、湿った土にある有機物や菌を利用して増えます。一方で、表土の白いものは、見た目だけでは正体を決められません。
白いカビとコバエは、別々の生きものです。ただし、どちらも表土が長く湿っている鉢で見つかることがあります。
二つは別のものですが、条件が重なることがあります
先に、この記事で分かることを書きます。
表土の白いふわふわは、有機物を分解する菌のことがあります。飛んでいる小さな虫は、多くの場合キノコバエの仲間で、その幼虫は土の中の有機物や菌を食べて育ちます。
白いものとキノコバエが同じ原因で出たとは、見た目だけでは決められません。ただし、湿った有機物が表土に残ることは、キノコバエが増える条件であり、菌の分解活動が見えやすくなる場面でもあります。そこで、見えているものを取り除くだけでなく、表土が乾くまでの時間も確かめます。
飛んでいる虫は、多くがキノコバエの仲間です
室内の鉢から出る小さなハエは、キノコバエの仲間であることが多いと、複数の大学の資料で説明されています。
生活の場は、成虫と幼虫で違います。飛び回る成虫が目につきますが、増える場所は土の中です。メスは湿った土に卵を産み、かえった幼虫は土の中で、腐りかけた有機物や菌を食べて育ちます(メリーランド大学Extension、アイオワ州立大学)。
ここが大事な点です。飛んでいる成虫を捕っても、土の中の幼虫とえさは減りません。 成虫の寿命は長くないため、条件が変わらなければ次の世代が続きます。
幼虫は基本的に有機物と菌を食べますが、数が多くなると細い根を傷めることがあると説明されています(UC IPMの解説)。とくに、根がまだ少ない挿し木や幼い株では、影響が出やすい場面として挙げられています。反対に、少数であれば大きな害にはならないとする記述が一般的です。
白いふわふわは、分解する側の菌です
表土に出る白いふわふわは、枯れた植物質を分解して栄養を得る菌(腐生菌)と考えられます。
有機物を含むマルチについて、UC IPMは、菌はマルチを分解する働きの一部であり、植物に害を与えるものではない、と説明しています(UC IPMのマルチの解説)。培養土にも、樹皮、ピート、ココヤシ繊維など分解される材料が含まれます。同じことが鉢の表面で起きていても、不思議ではありません。
ただし、ここは慎重に区別しておきます。
- UC IPMの記述は、屋外の有機マルチについてのものです。
- 室内の鉢の表土に出る白い菌が、常に同じ無害な腐生菌だと、この資料だけで決めることはできません。
- 葉や茎にも白い粉状のものが広がる場合は、うどんこ病など別の原因も考えられます。
見えている白いものが何かを、写真や見た目だけで確定することはできません。この記事で言えるのは、湿った有機物があるところで、それを分解する菌が増えるのは一般的な現象だという範囲までです。
取り除くだけでは、条件が残ります
白いカビをすくい取る、成虫を捕る。どちらも、そのときは見た目が良くなります。ただ、幼虫のえさになる有機物と、湿った表土はそのまま残ります。
大学の資料が共通してすすめているのは、表土を乾かす時間をつくることです。表面が乾く間をつくると、キノコバエの幼虫が育ちにくくなる、という説明が複数の資料に見られます(ミネソタ大学Extension、UC IPMの解説)。
ここで、株のほうにも目を向けておきたい点があります。表土がいつまでも乾かないとき、原因は水やりの回数だけとは限りません。根が傷んで水を吸えなくなっている場合も、土は乾きにくくなります。その状態でさらに水やりを控えめにしても、鉢の中が湿ったままということが起こります。
根のまわりで酸素が減ると何が起きるかは、根腐れはなぜ起きる?過湿で根が酸欠になる仕組みで扱っています。冬に乾きにくくなる理由は、観葉植物の水やりを冬に減らすのはなぜ?で扱っています。
鉢の前で確かめられること
診断はできませんが、次の点は自分の鉢で確認できます。
- 前回の水やりから、表土が乾くまでの日数。 常に湿っているのか、数日で乾いているのかで、考えられることが変わります。
- 表土に有機物がどれだけあるか。 落ちた葉、枯れた茎、有機質の資材が表面にあると、幼虫のえさと産卵場所が増えます。
- 虫が出てくるタイミング。 水やりの直後に一斉に飛び立つなら、発生源が土の中である可能性が高くなります。
- 白いものが土の表面だけか、葉や茎にも出ているか。 葉や茎にも広がっている場合は、別の原因を考える必要があります。
- 受け皿の水。 たまったままだと、鉢の下から湿りが戻り続けます。
この記事だけでは分からないこと
この記事の根拠は、大学のExtensionやUC IPMが公開している、家庭や園芸の現場向けの資料です。個々の観葉植物の種で、乾かす日数と発生量の関係を測った研究ではありません。
「表面から数センチ」という目安も、鉢の大きさ、用土の種類、部屋の環境で変わります。同じ日数で同じ結果になるとは限りません。
- 薬剤や資材の使い方と安全性は、この記事では扱っていません
- 白いものの正体は、見た目だけでは確定できません
- 観葉植物の種類ごとに、乾かす日数と発生量を比べた研究ではありません
見えているものを取り除く前に、その鉢の表土が何日で乾いているかを一度確かめてみてください。カビとコバエは別々の問題に見えて、同じところから始まっていることがあります。
Sources — 参考文献・原典
- ipm.ucanr.eduで読む
- extension.umn.eduで読む
- extension.umd.eduで読む
- yardandgarden.extension.iastate.eduで読む
- ipm.ucanr.eduで読む
※リンク先で、研究の対象や条件を確かめられます。研究結果をすべての植物や状況に当てはめられるとは限りません。
