Roots & Water
アガベの胴切り後、カルスは発根の前兆?切り口の盛り上がりを分けて考える
アガベを胴切りしたあと、切り口がぷっくり盛り上がることがあります。傷がふさがってきたようにも、根が出る準備が始まったようにも見える変化です。
アガベの胴切り後に切り口が盛り上がるカルスは、まず傷を守る組織です。カルスができることと発根は同じではありません。研究で分かる関係と、個体では判断できない範囲を整理します。
切り口で、何が起きているの?
アガベを胴切りしたあと、切り口がぷっくり盛り上がると「発根の前兆では」と期待したくなります。この部分はカルスと呼ばれますが、カルスができることと、根が出ることは同じ意味ではありません。
カルスは、植物が傷を治そうとして作る、新しい細胞の集まりです。人の傷にかさぶたができるように、植物も切り口をそのままにはしません。
では、カルスができたら、もうすぐ根が出るのでしょうか。研究を見ると、それほど単純ではないことが分かります。
カルスのまず一番の仕事は、傷を守ること
切り口が開いたままだと、そこから水が逃げやすくなります。カビや細菌なども入りやすくなります。
そこで植物は、傷の近くに新しい細胞を作ります。細胞が増えると、切り口が盛り上がって見えます。
樹木などの研究では、その外側に、コルクのような硬い層ができることも分かっています。この層は、水が逃げるのを減らし、外から異物が入るのを防ぎます。
つまり、カルスが盛り上がるのは、まず「傷口を直す工事が進んでいる」という合図です。
カルスができても、根が出るとは限らない
切り口から新しく出る根を、「不定根(ふていこん)」と呼びます。これは、もともと根ではなかった場所から生まれる根のことです。
挿し木などの研究では、根ができる道筋が二つあると考えられています。
- カルスの中から根ができる
- カルスを通らず、水や栄養を運ぶ管の近くから根ができる
そのため、カルスが大きくなっても、その中で根の準備が進んでいるとは限りません。逆に、目立つカルスがなくても、根が出ることがあります。
「カルスができた」と「発根の準備ができた」は、同じ意味ではないのです。
根が出るには、ほかの条件も必要
植物の体の中には、成長を助ける合図があります。その一つが、「オーキシン」という植物ホルモンです。
オーキシンは、根になる細胞の動きを始めるために重要です。ただし、オーキシンだけあれば根が出るわけではありません。
新しい細胞を作るには、材料となる糖が必要です。適した温度、水分、酸素も必要です。
寒すぎると、植物の動きは遅くなります。水が多すぎると、切り口が腐りやすくなります。乾かしすぎても、細胞は増えにくくなります。
根が出るかどうかは、カルスの大きさだけでは決まりません。株の体力と、周りの環境も関わっています。
アガベでは、どこまで分かっている?
アガベでも、小さく切った組織を容器の中で育て、カルスや根を作る実験が行われています。これを「組織培養」と呼びます。
その実験では、植物ホルモンの種類や量を変えると、カルスや根のでき方も変わりました。アガベの組織に、傷に反応して新しい細胞や根を作る力があることは確かめられています。
ただし、これは管理された容器の中での実験です。鉢植えのアガベで、「カルスがこの大きさになったら、あと何日で根が出る」と確かめた研究は、今回は見つかりませんでした。
株を見るときのポイント
カルスの大きさだけでは、発根の時期を決められません。次のように、株全体を見ることが大切です。
- 切り口が乾いて、硬くなっているか
- 黒く湿ったり、変なにおいがしたりしていないか
- 株全体が急にやわらかくなっていないか
- 植物が成長できる温度か
- 用土が長く湿ったままになっていないか
ただし、これらはアガベの胴切りを比べた実験の結果ではありません。ほかの植物の傷の治り方と、一般的な栽培の目安を組み合わせたものです。
この記事のまとめ
- カルスは、植物が傷口を守るために作る組織です。
- カルスができることと、根が出ることは、別の動きです。
- カルスが盛り上がっても、発根する日は予測できません。
- 切り口だけでなく、株の硬さ、色、温度、用土の湿り方も合わせて見ます。
カルスは、傷が治り始めた合図です。しかし、根が出るまでの「残り時間」を示す時計ではありません。焦って水を増やすより、切り口と株全体の変化を落ち着いて見ることが大切です。
Sources — 参考文献・原典
- pmc.ncbi.nlm.nih.govで読む
- frontiersin.orgで読む
- PubMedで読む(PMID: 26697895)
- pmc.ncbi.nlm.nih.govで読む
- PubMedで読む(PMID: 31593816)
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- scielo.org.mxで読む
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※リンク先で、研究の対象や条件を確かめられます。研究結果をすべての植物や状況に当てはめられるとは限りません。
